中古住宅や中古マンションを見学する際のマナーについて考えてみます。
皆さんも賃貸アパートなどを不動産屋さんに案内してもらった経験はあると思います。その時は以前住んでいた居住者が退去したあとのお部屋を、空室の状態で見学したと思います。
また、大家さんが直接貸している場合を除いて、大家さんといきなり面談することは少ないと思います。
ところが、中古住宅や中古マンションとなると、売主さんが居住中のことが多く、契約するかもしれない相手といきなり面談することになります。
売主が不動産業者(プロ)のモデルハウス、モデルルームや建売住宅にお客として見学しに行くのとも少々違います。
初めての事で勝手がわからないし緊張なさる方もいらっしゃるかと思います。
最近はみなさん礼儀正しく、マナーが良い人が多いので問題は少ないのですが、いくつか注意したほうが良い点はありますので、思いつく限り書き出してみました。
その1.見学する物件の絞込み
見学する物件を事前に良く検討して絞り込みましょう。
売主さんは、不動産を売るために購入希望のお客様に住宅を見せることは当然だと思っています。
売りたいから見せるということは当たり前なのですが・・・。
リビングだけでなく、普通なら人に見せたくないような生活の場、水廻りの設備(キッチン、お風呂、トイレ)や寝室まで見せなくてはなりません。
売主さんもプロではありません。
見学にいらっしゃるお客様と同じ、一般の消費者の方達です。
それぞれの理由で売却する決心をして売りに出しています。
手狭で大きな家に住みかえたい、転勤することになった。もっと深い事情があって・・・。大切な財産(不動産)を売ることになりました。
見学希望の知らせが不動産屋さんから入れば、予定を空けて、少しでも良い状態でみてもらおうと何日も前から片付けをしたりお掃除をして待っています。
見学に来て「これかあ。」「場所が気に入らない。」
それはそれで仕方ないのですが、
事前に不動産業者に詳細資料を請求するまでもなく、最近はネットでも価格などの条件や間取りのほかに、外観の写真、所在地の地図、周辺環境まで載っている場合があります。
物件をご自分の希望条件で絞込み、出来れば外観だけでも下見してから
「良さそうだから内覧にきました。」と言っていただくのが、待ってくれている売主さんに対して失礼でないと思うのです。
普通のお買い物と違って、中古住宅は人(売主)と人(買主)のお取引です。
双方が相手に失礼にならないよう配慮していただくことが良い取引をすすめる秘訣ではないでしょうか。
その2.見学の場で価格交渉しない
売主さんのいる前で、「価格はいくらになりますか?」「値引きは出来るんですか?」など言わないで下さい。
冷や汗が出ます(笑)
売主さんは少しでも高く売りたい。
買主さんは少しでも安く買いたい。
価格は不動産取引にあたってもっともデリケートな要因です。
相反する利益のバランスをとり、調整するのが我々不動産業者の役割になります。購入する意志を固めてから私共にご相談下さい。
その3.物件をこきおろさない
見学の最中に物件の悪い点をあげつらって、安く売ってもらおうとする方がいます。
「ここがダメだ、あそこが汚い、リフォームしなければ住めない。」
物件を悪く言う裏に「安くしてもらいたい。」という気持ちがあるのはわかるのですが、これは逆効果。
売主さんにしてみればご自分の生活の場を否定されたことになり、「そんなに気に入らないならあなたには売りません!」ということになります。
物件の欠点を売主さんは、程度の差はあれご存知です。わかっているが、あからさまに言われると腹立たしく思うのは当たり前です。
その4.見学は皆さんで
見学は、出来れば決定権ある方全員に一度でご覧いただくのが理想的ですが、
皆さん忙しいので、奥様だけ先に見て気に入ったら後日ご主人に見ていただく、ご夫婦でご覧いただいた後にご両親を案内する。とかもありだと思います。
但し、あまり関係のない方に見ていただくのはいかがかと思います。
あなたのためにうまく交渉してあげようと、自称不動産通や、自称交渉上手という人がついて来て、あれやこれやと余計な事を言って、かえってうまくいかなかったこともあります。
その5.ご予約はお早めに
見学に際しては、早めのご予約をお願いします。
売主さんも私共もいつでもスケジュールが空いているわけではありません。
「今日、これから見たいんですが・・・。」という方が意外と沢山いらっしゃいます。できる限り対応しますが都合がつかないこともあります。
また、当日は時間厳守。見学をキャンセルする場合は早めのご連絡をお願いします。
その6.ひと声かけて下さい。
室内の写真を撮ったり、閉めてある部屋のドアを開けたり、二階へ上がったり、押入れや収納の戸を開ける時などは、
「写真を撮ってもいいですか?」
「開けてもいいですか?」「見てもいいですか?」などひと声かけてからお願いします。
そのほうが売主さんも気持よく見せることが出来ます。
最後、お帰りの際には感謝の言葉「ありがとうございました。」も忘れずに。
その7.手土産は?
見学の際、菓子折りなどの手土産の持参を心配される方もいらっしゃいますが、一般的には不要です。
それよりしっかり見ていただいて、あとで感想を私共通じて売主さんにお伝えしていただくのが何よりです。
売主さんによってはお茶などを出していただく方もあります。
その時は遠慮なくお茶をいただきながら、売主さんしか知りえない建物や設備の状態。陽当り具合や騒音の問題がないかどうか。町や近隣の情報などのお話も伺って見て下さい。
最終的なゴールは、売主さんにも良くて、買主さんにも良いWin-Winの不動産取引です。交渉事と捉えず、お互い相手の立場を尊重し、思いやりの心で気配りしていただければ間違いないのかと思います。