不動産の広告や住宅購入の際によく目にする「用途地域」。
これは、その土地にどんな建物が建てられるかを決めるための、都市計画上の重要なルールです。
✅用途地域って何?
用途地域とは、都市計画区域内の市街化区域に指定される土地利用のルールのこと。
土地ごとに「住居系」「商業系」「工業系」といった用途が決められており、それによって建てられる建物の種類や大きさなどが制限されます。
たとえば、静かな住宅地に突然パチンコ店や大規模工場ができないように、用途を分けることで良好な住環境を守ることが目的です。
🏠用途地域は全部で12種類
用途地域は、大きく「住居系」「商業系」「工業系」の3つに分かれ、全部で12種類あります。
■ 住居系(住宅向き)
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 田園住居地域
■ 商業系(商業施設向き)
- 近隣商業地域
- 商業地域
■ 工業系(工場・倉庫向き)
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
上から順に住宅向けの環境となっており、下にいくほど非住宅(店舗・工場など)向きになります。
なお、「工業専用地域」を除けば、住宅の建築は可能です。
📏用途地域によって制限される内容
用途地域ごとに、以下のような規制が定められています:
- 建てられる建物の種類(住宅・店舗・工場など)
- 建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)
- 容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)
- 高さ制限(10mまたは12mなど)
- 道路斜線・隣地斜線制限
- 日影規制 など
とくに第一種低層住居専用地域は規制が厳しく、静かで落ち着いた住宅街を保つためのルールが多く設けられています。
⚠ お店を開く予定の方は注意!
例えば将来、退職後に自宅でカフェや事務所を開きたいと考えている場合でも、第一種低層住居専用地域では厳しい制限があります。
- 床面積50㎡以下
- かつ、延べ床面積の1/2未満でなければならない
そのため、「住宅地=将来何でもできる」とは限らないのです。
🧭敷地が複数の用途地域にまたがっていたら?
土地が2つ以上の用途地域にまたがる場合、建ぺい率や容積率は敷地の割合に応じて按分計算されます。
ただし、建物の用途については、敷地の過半を占める用途地域のルールが適用されます。
つまり、「一部が商業地域だから自由に建てられる」と思っても、全体の面積バランスによって制限を受ける可能性があります。
👀 周辺地域にも注意
自分の敷地が住居系であっても、隣地や道路の向かい側は別の用途地域というケースもあります。
- 向かいが商業地域 → 夜間も営業する店舗が建つ可能性
- 隣接地が準工業地域 → 倉庫や自動車修理工場が建つことも
用途地域は、周辺の将来の環境も想像するための大事な情報です。
🗺️用途地域は都市計画図でチェック!
用途地域は、都市計画図(用途地域図)で確認できます。
- 色分けされており、一目で地域区分がわかる
- 各市町村の役所やホームページで閲覧可能
- 「〇〇市 用途地域」と検索するとすぐ出てきます
✅まとめ
- 用途地域とは、建てられる建物や制限を定める都市計画上のルール
- 全部で12種類あり、建築の自由度に差がある
- 住宅だけでなく、将来の活用(店舗・事務所)も考えて選ぶべき
- 自分の土地だけでなく、周辺地域も確認することが大切